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事前通知制度と手続き方法

不動産登記

出典:nantan-s.jp 様

事前通知制度と手続き方法

所有権移転登記や、抵当権設定登記、はたまた賃借権や地上権等を設定登記する場合、登記識別情報や、登記済権利証などの、いわゆる「権利書」が必要となります。例えば、売買契約の時、売主が買主に権利書を渡すシーンなんかは、用意に想像できるかと思います。

権利書が無い!!??

大事な書類なのですが、権利書が無いと言う方も大勢います。相続なんかで、土地を取得した方に、特に多い気がします。どこに保管してあるかわからないのでしょう。登記の際に必ず必要な書類なのですが、 残念な事に、再発行してもらえません。

じゃあ、登記も出来ず、売買することも出来ないのか!?と、言うとそんな訳もなく、事前通知の制度によって、問題なく登記は完了します。

事前通知制度とは?

権利書が無い旨を申請書に記載して、登記識別情報(=登記済権利書)を添付せずに登記申請すると、法務局から義務者(売買の場合なら売主の方)へ、問い合わせの文書が郵送されてきます。

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出典:imoto-office.com 様

この通知に対して、義務者が署名して、実印を押印して、法務局へ、郵送なり直接持参なりすれば、登記事務が進められ、無事登記が完了することとなります。 権利書が無い代わりに、直接本人に聞いて、間違いないかの確認をしているわけです。

期限は二週間

この事前通知制度で厄介なのが、法務局が事前通知を発したときから2週間以内に、郵送なり持参なりして回答する必要があると言うことです。届いてから二週間ではありません、 法務局が発送してから二週間です。

私も、不動産の売買をする時に、権利書が無いと仰る売主さんには、念入りにこの事前通知制度のことを説明して、期限が二週間しかないから、なるべく早くお願いしますと、しつこいくらいに説明します。

期限を過ぎてしまうと?

幸いなことに、今まで、期限を過ぎてしまったことはないですが、期限を過ぎた場合、申請が却下されます。その時は、「取り下げ書」を法務局に提出して、一旦、申請を取り下げ、再度申請しなおすことになります。まあ、その場で、申請年月日を訂正して、また提出するだけかと思いますが。

2019.10追記

売主さんが事前通知の対応を忘れ、期限が切れてしまった事があります。その時は申請が「却下」されたわけではなく、法務局から「取下げ」してくれとの連絡がありました。「取下げ書」と登録免許税の「再使用証明願」を提出して、取り下げます。申請年月日訂正してすぐさま再提出出来るかと思っていたのですが、受付のシールを張られたり、登記官のメモ書き等されているので、かなり汚い状態で申請書が返却されます。なので、申請書は作り直して再提出します。「委任状」や「登記原因証明情報」、はたまた「印鑑証明書」等の添付書類も、あちこちメモ書きされたり、チェックした後なんかが書かれているのですが、「同じ物を再提出してますよ~」って意味も込めて、そのまま添付してしまいます。

本人限定受取郵便

実はもう一つ厄介な事があって、この事前通知の回答書は、本人限定受取郵便で発送されます。読んで字のごとく、本人しか受け取れません。家族でもダメです。(田舎の郵便局なんかで、顔見知りなら、家族に渡すこともあるそうですが・・・)

通常、お勤めの方なら、日中配達されても、受け取れないのが普通です。その場合、日時指定して再配達してもらうか、ご自分で、郵便局に受取に行く必要があります。これらを、期限である二週間以内に行うのですから、時間的に厳しいです。

まとめ

権利書がなく、事前通知の制度を利用する場合、義務者さんに、しっかり説明しておきます。時間的にかなりぎりぎりの制度ですからね。無事、事前通知制度の回答書を受け取ったら、簡易書留なんかで送ってもらうのが、間違いないかと思います。

法務局の担当者さんがおっしゃってましたが、事前通知を受け取っても、返送せずに、取っておく方もいるそうです。あまり内容も読まず、大事な書類みたいだから、とりあえず保管しておこうと、思うのでしょう。

私も一度経験しました・・・その時は封すら開けずに保管されてました。あの時は、回答書を急いで書いて、実印を押してもらい、法務局まで直接持っていきました。郵送だと間に合わなかったので(汗

おまけ

この事前通知制度について、もう一つ、おまけ話。

登記識別情報や、登記済権利書があっても、わざわざそれらを添付せずに、事前通知制度を
利用する方も大勢いるらしいと、法務局の方から聞きました。どういう意図かはわかりませんが、例えば、買主に権利書渡すが心配な方とかでしょうかね?

あと、登記識別情報は、1筆ごとにありますので、売買の時に、必要な土地の分だけ渡すことが可能です。しかし、登記済権利書の場合、数筆が一緒に綴られていることが、ほとんどです。昔は登記申請した際の申請書が、登記済権利書となってるわけですから、数筆の土地が一緒の権利書になって綴られています。

そのような場合は、まさか権利書を破くわけにもいきませんし、売買に関係ない権利書を渡したくないと言う方は、あえて権利書を添付せず、事前通知の制度を利用した方がいいですね。

ちなみに登記済権利書を添付して登記申請した場合、登記が完了した際には、権利書が返却されるので、数筆が一緒になった登記済権利書を添付しても、中身を確認したら、返ってきますので、売買に関係ない土地を取られることにはなりません。

私は以前、かなりの筆数の土地を持つ地主さんから土地を購入した時、あまりに権利書の数が膨大で、その中から、購入した土地の権利書を探すのが面倒で、あえて事前通知の制度を利用しました。後日権利書が出てきても、登記が完了してれば、ただの紙切れなので、そんな事もしています。

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