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登記申請の補正と取下げの方法

不動産登記

法務局へ登記申請書を提出し、申請書や添付書類に不備がなければ、そのまま無事登記手続きが進められ、最終的には登記完了となります。しかし、申請書の記載内容に不備があったり、添付書類が足りなかったりすると、登記手続は進まず、登記申請書を提出した法務局の登記官から連絡が来ます。(この連絡を受けるために、申請書には連絡先の電話番号を記入しておきます。)

「〇〇法務局ですが、この間申請して頂いた登記の件で~」なんて電話がかかってくると、かなりドキッとします。

登記申請の補正とは?

いくら確認しても登記申請書作成するのは人間です・・・間違う事だってあります。例えば、不動産の表示中の地積だったり、申請人の名前の漢字とか。提出した登記申請書の記載内容に間違いがあると、基本的には登記手続きが進められません。しかし、申請人がその間違いを訂正すれば、間違いはなかったものとして登記手続きは進めてもらえます。この間違いを訂正する事を「補正」と言います。

補正の方法

登記申請書を提出した法務局へ出向いて、そこで申請書を訂正します。補正自体はそれほど難しいものではなく、登記官が訂正するべき箇所と、どのように訂正するかを教えてくれます。言われたとおりに手書きで訂正して、押印して終わりです。実際にやってみると何も難しいことはなく、基本的には二重線で間違った箇所を消して、その近くに正しい記載内容を記入します。あとは押印して終了です。

申請書に押したハンコだけ持って行けば、何の問題もなく補正は完了します。あらかじめ捨印を押しておけば、ハンコすら持って行く必要もないのですが、捨印を使用した訂正より、間違った箇所に直接ハンコ押す訂正方法の方が簡単なので、ハンコは持って行った方が良いでしょう。(捨印で済ませようとすると、捨印のそばに「〇字加入〇字削除」や「〇字訂正」等書く必要がありますが、直接押印して訂正する場合は、そんな一文必要ありません。)

日付の記入ミスとか、本当に軽微な間違いなら、登記官の方が電話口で確認後訂正してくれます。「こちらで記入しといて良いですか?」なんて聞かれます。登記官の方に直して貰うためにも、捨印は押しておいた方が良いですね。

登記申請の取下げとは?

登記申請書を補正出来れば問題ないのですが、手書きでいちいち訂正するのが馬鹿らしくなるような大量のミスであったり、そもそも申請人(当事者)が間違っている場合等、すぐに補正出来ないような場合は、提出した登記申請を初めから無かったことに出来ます。やっぱりや~めたって事です。もちろん登記完了した場合には取下げすることは出来ませんが、登記完了する前なら可能です。この登記申請そのものを無かったことにする事を「取下げ」と言います。

私の経験談ですが、とある登記申請書を提出したのですが、登記官から連絡が来て、補正して下さいとの事でした。しかし、間違ってる内容とか聞くと、あまりに大量に間違っていて、補正するのが馬鹿らしくなって、こちらから逆に登記官の方に、「一度取下げて、新しく作ってきます」と告げた事があります。申請書もパソコンで作成しているので、再作成し、訂正するのも簡単ですからね。

また別の件では、添付書類が不足していて、やはり登記官の方から連絡を貰いました。その添付書類と言うのが、用意するのにはちょっと時間のかかりそうな物だった事もあり、「1週間程度なら待ちますが、準備するのにそれ以上の時間がかかるようでしたら一度取下げて下さい。」と言われた事もあります。添付書類の不備なので、補正とかの問題では無いですからね。登記官の方も、登記申請書を一度受け付けてしまった以上、登記手続きを進めないといけないらしく、あまり時間かけていられないとの事でした。私も最初は、(別に待っててくれても良いのに・・・)と思っていたのですが、登記官の方が、「受け付けた登記申請書はすぐに手続きしないと、上に怒られるのです・・・」と仰っていて、なんか申し訳なく思ってしまいました(笑)

取下げの方法

取下書」を作成して、申請書に押印したものと同じハンコの押印が必要になります。「取下書」は、法務局に用意されていて、必要な事項(受付年月日や受付番号等)を記入するだけです。

申請書に貼付した収入印紙は?

一度貼ってしまったからと言って、無駄になるわけではないので安心してください。「再使用証明」と「現金還付」の二通りの方法があります。

再使用証明とは?

登記申請書に貼付した収入印紙を文字通り再使用することができます。登記申請をして、受付されると、登記官によって申請書の記載事項のチェックや、収入印紙のチェック等が行われるのですが、その際に、申請書に貼付した収入印紙に登記官が消印をしてしまいます。

登記申請書を取下げた時に、消印されていない状態で申請書を返して貰えれば、その収入印紙を剥がして使用すれば良いだけですが、普通取下げするような場合は、すでに消印されてしまっています。

消印されてしまった収入印紙ですが、この再使用証明の手続きを取ることで、その収入印紙を再度登記申請に使うことが可能となります。(一度取下げて、再度提出する時に使っても良いですし、全く別の登記申請に使用しても大丈夫です。※同一法務局に限るそうです)

再使用証明の手続きですが、「再使用証明申出書」を法務局の窓口で提出するだけです。A4用紙一枚の簡単な申出書で、法務局の登記申請窓口でその旨伝えれば、用紙も貰えますし、また書き方も教えてくれます。

再使用証明の手続きを取ると、再使用出来る旨の証明と、証明番号が記載され、無事申請書が返却されます。

再使用証明受けた収入印紙の使い方

登記の申請を提出する時に、登記申請書の最後のページを白紙(台紙)にして、そこに登録免許税分の収入印紙を貼付したかと思いますが、その収入印紙の張られた最後の白紙(台紙)を再度使用します。

具体的に言うと、新しく登記申請書を作成して、最後の白紙(台紙)のページの代わりに、この再使用証明を受けた台紙をホッチキスで閉じるだけです。一度登記申請に提出している台紙ですので、もちろん以前提出した時の契印(割り印)がされていますが、気にせず新しい申請書と新しい契印(割り印)をします。

決して、切手剥がし等を用いて、台紙から消印された収入印紙を剥がして使用するものではありませんので、ご注意ください。あくまで再使用証明を受けた台紙ごと、台紙のまま使用します。

現金還付とは?

正直に申し上げますと、私はこの現金還付の手続きを取ったことがありません。なぜなら、法務局で取下げの相談をしている時に、現金還付だと時間もかかるし、どうせすぐ使うのだから再使用証明でどうですか?と言われるためです。

ですから、今のところこの現金還付の方法については、詳しい説明は控えさせて頂きます。知っている限りお伝えすると、法務局で手続きすると、税務署から申請人の銀行口座に返金されるそうです。ただ、この返金までに結構時間かかるそうですね。

ちなみに、取下げの場合は、提出した登記申請書を返却して貰えますが、却下されると申請書が返却されないので、「再使用証明」か「現金還付」か選べることが出来ず、強制的に現金還付の手続きとなります。

過誤納付

私の経験談ですが、以前登記申請を提出した際に、登録免許税の計算を間違ったらしく、100円多く印紙を貼っていると登記官から連絡がありました。そこで、この多く納付してしまった100円の返却手続きをとるための説明を受けたことがあるのですが、今思うと、まさしくこれが現金還付の方法だったのではないかと思います。おぼろげですが、時間がかかることと、税務署がからんでいることは覚えています。

実際どうしたかと言うと、「いりません」とお答えしました(笑)新しく書類作って税務署に提出したりといろいろ手続きが面倒で、わざわざ100円のために動くのが馬鹿らしく思ったからです。それでも、ただ「いりません」と言って手続きが進むのではなく、一度法務局へ行って、印紙を貼った台紙のページへ何かしらの文言を書いたのを覚えています。確か、「100円は返却不要」とか、そんな感じの一文を書かされました。これもまた一種の補正ですかね。あとから、余分な分は返せ!!って言われないための法務局側の対策でしょう。

まとめ

いくら見直ししたって間違う時はあります。「人間だもの・・・」間違ったからと言って、法務局の職員に怒られるわけでもないし、もちろん大事な不動産が無くなるわけではありません。支払った登録免許税だって、全額返して貰えます。

失敗なんか恐れずに申請書作ったら、さっさと提出してしまえば良いと思います。別にプロの司法書士でもなんでもないのですし、法務局だって素人が一生懸命申請書書いてるんだ~くらいにしか見てません。

法務局の登記官は、かなり厳しく申請書の内容をチェックします。厳しくチェックするからこそ、私なんかはそれをあてにしてしまう事もあります。要するに、申請書の内容が間違っている場合は、法務局の方から指摘してくれるので、間違った登記がされないと言うことです。例えば、不動産売買契約の結果、甲野太郎さんへ所有権移転登記申請するべきところ、申請書に間違って甲野次郎と記入しても、法務局の登記官は提出した添付書類等からそれが間違いであると気が付いてくれます。間違ってますよ~って電話来たら、法務局へ行って手書きで訂正するだけです。もちろん法務局へ行ったりと、余計な手間はかかりますが、「失敗しないか?」等悩んでいるくらいなら、さっさと提出してしまっても良いと言うことです。

所有権移転登記なんかは、私も大量に申請しているので、今更そう間違う事もないのですが、ごくまれに初めて経験するような登記手続きも行います。そんな時も、ある程度調べて、だいたいの形に申請書が出来上がれば、さっさと提出してしまいます。申請書が間違っている場合、添付書類が足りない場合、登録免許税額が間違っている場合等、無事登記手続きが進められない場合は、全て申請人(=代理人)へ連絡貰えます。連絡貰えれば、何がおかしいのか教えて貰えますので、連絡貰ってから補正すれば良いのです。補正で間に合わない場合は、「一度取下げて、再度申請し直します。」と登記官へ伝えて、取下げしてしまいます。それから後日、また新しく作成した申請書を提出すれば良いのです。

法務局は融通が利かないお堅い役所です。そのおかげで間違った登記がされる事もないし、こちらで作った申請書のミスも気づいてくれるのです。おまけにちゃんと法に基づいて申請すれば、誰が申請しても結果は同じです。司法書士の提出した申請も、初めて登記申請書作った私が提出した申請も、得られる結果は同じです。

初めて登記申請する方は、登記申請なんてすごく大変だと思うかもしれませんが、間違った申請だしてもそれを訂正する道は残されていますし、登記官もしっかりチェックしているので間違った登記もされることもありません。とりあえず、申請してしまいましょ。

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