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登記事項証明書とは?

不動産登記

登記事項証明書とは、登記記録を証明した書面のことです。昔の言葉で言うと、登記簿謄本です。登記記録を証明した書面なのですが、証明している事項によって、名称が異なります。全部事項証明書であったり、履歴事項証明書であったりと、正確には数種類の名称がありますが、これらを総称して登記事項証明書と言っています。

不動産についての登記事項証明書と、法人についての登記事項証明書、さらには、後見登記についてや、動産譲渡についての登記事項証明書があります。私のブログでは、不動産と、法人(商業)登記しか扱いませんので、これらについて説明します。

不動産の登記事項証明書

不動産の登記事項証明書は証明する事項によって数種類にわけられますが、通常使用するのは、「全部事項証明書」だけです。場合によっては、「現在事項証明書」、ごくごくまれに「閉鎖事項証明書」なんかも必要になる場合がありますが、通常、我々素人が見るものと言えば、全部事項証明書で事足りると思います。

以下、主要な登記事項証明書です。そこに記載されている事項が異なるために、これだけの種類に分かれているだけです。発行手数料は同じです。

全部事項証明書

読んで字のごとく、登記記録(閉鎖登記記録を除く。以下一棟建物現在事項証明書の項まで同じ)に記録されている事項の全部を証明したもの(不動産登記規則196条1項1号)。その不動産の詳細として、場所や大きさ、所有者、さらに銀行の抵当に入ってるか等が記載・証明されます。

「全部」の事項なので、通常はこの全部事項証明書を請求しとけば間違いないです。

現在事項証明書

登記記録に記録されている事項のうち現に効力を有する部分を証明したものです(同規則196条1項2号)。

全部事項証明書との違いは、現在効力のあるものだけが証明されています。例えば、売買によって、所有者がAさんからBさんに移り、さらに、BさんはCさんに売り、現在の所有者はCさんである場合、全部事項証明書だと、これらの一連の流れが全て証明されます。何年の取引なのか?売買なのか、相続か、はたまた譲渡か?時系列で、これら一連の流れを把握することが出来ます。一方、現在事項証明書は、これらの一連の流れは省略されます。ダイレクトに、現在の所有者はCさんですと証明されます。

その他にも、例えば不動産を担保に、銀行から融資を受けた場合、抵当権の登記(抵当権設定)がされます。しかし、その借入金も無事完済すると抵当権の登記は削除(抵当権抹消)されます。全部事項証明書ですと、この削除された抵当権なども履歴として証明されます。しかし、これが現在事項証明書ですと、すでに削除(抹消)された登記記録は証明されないので、これらの記録は記載されません。

「全部事項証明書」を取得しとけば必要な情報は全て記載されているはずですが、「全部事項証明書」ではなくて、あえて「現在事項証明書」を請求する場合もあります。例えば、証明書の枚数が膨大になる時です。証明書発行して貰うのに、法務局へ発行手数料を支払うのですが、証明書の枚数が50枚を超える場合は、追加料金がかかります。

また、現在事項証明書を取得するメリットとして、解りやすいというのもあります。現に効力がある部分だけの記載ですので、余計な事項、つまり今では参考にしかならない過去の登記記録は記載されていないので、純粋に登記記録を確認したいだけなら、こちらの現在事項証明書でも良いかと思います。

何区何番事項証明書

権利部の相当区に記録されている事項のうち請求に係る部分を証明したものです(同規則196条1項3号)。

通常の土地や、一戸建ての建物ですとあんまり関係ないでしょうが、大きなマンション等の登記記録ですと、権利関係が膨大な数で、枚数そのものも膨大な数になり、いちいちそこから該当する箇所を探したり、追加料金を支払う負担もありますので、ずばりピンポイントで指定してあげて、請求する時に使います。共有者の名義等を申請書に記入してあげると、その方に関係する部分だけ発行してくれるようですね。

閉鎖事項証明書

全部事項証明書・何区何番事項証明書・一棟建物全部事項証明書について、閉鎖された登記記録に係る部分を証明したものです(同規則196条2項)。

全部事項証明書に記載されていない、古い情報なんかを知りたい時に請求します。ちょっとイメージしづらいので、一番簡単な例を出します。例えば、建物にも登記記録がありますよね。建物新築すると、新しい登記記録を作って、所有者が誰なのかや、その建物の大きさ、新築に際して銀行から融資を受ければ、抵当権がこの建物の登記記録に記録されます。

では、建物を壊した時はどうなるか?建物を壊した場合、壊しましたよ(滅失登記)と報告する登記を行います。この登記が行われると、この建物の登記記録は「閉鎖」されたと言うことになります。閉鎖された登記記録は、その後、新しい登記をすることが出来ず、一定期間経過後に処分されるそうです。そもそもその建物自体が存在しないわけですからね。役目を終えた登記記録ですね。なかなか素人ですと、この閉鎖事項証明書が必要になる場面はないかと思います。

似た言葉に、閉鎖登記簿謄本があります。こちらは、コンピューター化によって閉鎖された登記簿謄本の事ですね。

全部事項証明書か現在事項証明書か?

履歴も含めて全て証明してる全部事項証明書は情報量も多く、これを取得しておけば間違いありません。お役所や、金融機関に「登記事項証明書」の提出を求められた場合、全部事項証明書を提出しておけば、間違いありません。

しかし、情報量の多さは時にデメリットにもなります。ズラズラと今までの取引履歴なんかが大量にかかれていると、眺めているだけでうんざりします。時系列で順番に記録されていますので、一番最後の欄を見れば良いのですが、関係ない箇所も書かれていると、読み間違える事も考えられます。自分で確認のために登記事項証明書を取得するのであれば、現在事項証明書を取得する方が良いと思います。

法人の登記事項証明書

不動産と同様に、法人についても登記事項証明書があります。やはり証明する事項によって数種類にわかれますが、主に必要になるようなものだけ説明します。

履歴事項証明書

不動産の登記事項証明書で言うところの、全部事項証明書みたいなものです。その法人の履歴が記載されています。(例えば、代表者が変わったとか、商号や本店所在地が変わったとか)しかし、不動産の全部事項証明書と違うのは、履歴全てがのっているわけではないと言うことです。基準日が設けられていて、基準日よりも以前のものは記載されません。ざっくり言うと、交付請求日から三年前くらいまでの記録が記載されていると思えば大丈夫です。

現在事項証明書

現に効力を有する登記記録が証明されます。不動産と同じですね。

閉鎖事項証明書

こちらも不動産と同じように、閉鎖されたもの(抹消されたもの)の登記記録を証明したものです。

まとめ

本当に簡単に、ざっくりと説明しました。法人の登記事項証明書にしても、「不動産と同じような」のような説明していますが、実際は全く違う記録のされかたをしています。しかし、登記申請のプロになるわけでもないですし、通常自分で行う登記申請に関係あるもの、または通常業務で不動産等を調査する分には、この程度の認識で十分です。

登記事項証明書が読めるのであれば、基本的には不動産の全部事項証明書、または法人の履歴事項証明書があれば、ほとんど事足ります。取得するための料金も変わりませんし、一番情報量の多いものがあれば良いという考えです。

コメント

  1. 通りすがり より:

    情報ありがとうございました
    当方この方面は全くの素人であり
    宅建に挑戦しようかと思い情報収集しているうちに
    こちらにたどり着いたものです

    大変勉強になりました
    根拠法令がきちんと書いてあるのが良いですね
    非常に信頼できます。
    素人は仕方ないにせよプロ(業者)のホームページでも
    根拠法令書かないところが結構あるんですよね。

    内容はオリジナリティ(ご経験に基づく内容が豊富)があって
    文体(日本語)も非常に平易で分かりやすかったので
    興味が出てきて他のページも楽しく読ませて頂きました。

    特に”不動産評価額が50倍以上!不動産競売の落とし穴”の記事は
    行政へのアプローチの仕方や考え方
    (権威を盲信せずオカシイものはオカシイと認識する事)
    は大変に勉強になりました。行政訴訟が必要なのかなぁとも
    思ったのですが、結構すんなりと何とかなるものですね。

    国の制度や測量について業者任せにせず
    自分でも概要や原理くらいは勉強しないといかんなぁ
    と思った次第です。

    長々と失礼しました
    ありがとうございました。

    • 吹原 さっこ より:

      コメントありがとうございます^^

      まだまだ作成途中のブログで、コンテンツもスカスカですが、
      今後も自分の実体験に基づいた記事を更新していきたいと考えていますので、
      また機会がありましたら覗いてください。

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