山林の売買を、林業会社等へ持ち掛けた後の流れをご説明します。
まず最初に
まずは集めた資料を持って、交渉相手へ向かいましょう。私の勤める会社の場合だと、とりあえず一度電話をしてから日時指定して来られる方もいますし、アポイント無しに突然やってくるお客さんもいます。
山林売買担当の私としては、正直どちらでも結構です。担当者がいなければ、誰かに資料預かってもらって、後で担当者に渡して貰えることも出来ますしね。資料を持って来て頂いても、その後、その資料を参考に調査する時間も必要になるため、その場で値段提示することも出来ませんので。
お互い一度顔を合わせてからの方が、相談等にものりやすいのは確かなんで、とりあえず電話して、担当者を確認して、時間が合えば担当者が会社にいる時に行った方が無難ですね。
買い手が知りたい事
山林の売買にあたり、私がまず調べたり、直接ご本人に確認することです。
①所有者
所有者と言えば、売りたい山林の持ち主さんかと思われますが、私が知りたいのは、登記簿上の所有者と現在の所有者の事です。
例えば、父親が亡くなって、その子供が山林を相続した場合を考えます。誰でも、家族が亡くなれば役所へ届け出ます。そうする事で、次の所有者(この場合は子供)へ、固定資産税が課税されます。ここまでは、誰でも行うのですが、相続登記を済ませていない場合が多々あります。相続登記の制度そのものを知らない場合もあります。実際の所有者が子供であっても、登記簿上の所有者が父親のままの場合、登記簿上の所有者を子供へ代える相続登記が必要になります。
残念ですが、相続登記がなされていない場合は、取引そのものが難しくなってしまいます。
②住所
これも①所有者と同じく、登記簿上の住所の事です。登記簿の所有者欄の住所が異なってると、その住所を現住所に変更する必要があるので、必ず確認します。通常は住民票を一通用意してもらうだけで簡単に済む登記ですので、仮に引っ越し等で住所が代わっていても、気にする必要はありません。
③森林簿及び森林計画図
林業専門の資料になりますが、これらでだいたいの場所や生育してる樹木の種類や林齢を調べます。森林簿や森林計画図は、林業のための資料で、県が管理していて、県に申請して交付してもらいます。本来、取引のための資料には使ってはいけない決まりなのですが、やはり便利な資料なので参考にしてしまっています。
④登記簿・公図
一番基本の資料ですね。主に権利関係を調べます。
現地確認
売主さんから頂いた資料を参考に調査したり、聞き取り調査をした後に、現地確認をお願いします。
取引対象不動産が山林でも、例えば車で簡単に行けるような場所なら、お会いした当日にさっと現地案内して貰う場合もありますが、通常は一通りこちらで独自に調査した後です。
しかし、現地確認をお願いしても、自分でも場所を知らない売主さんが非常に多いです。山林を売りたいと話を持ってくる時に「相続した山林なんだけど、処分出来ませんか?自分でも場所も解らないし、手入れすることも出来ないので・・・」と相談される方がほとんどなんで、しかたないですね・・・・
場所を知っていることに越したことはないのですが、知らなくてもこちら(買い手)で調べますので、気にすることもありません。中には、自分では山林を案内することが出来ないけど、代わりに案内出来る方を紹介してくれる方も多くいらっしゃいます。例えばご親戚であったり、近所のお年寄りだったり。やはり最近では、売主本人が案内するよりも、こういった第三者にお願いされる方が多いです。
最後に
最初に資料を頂いて、それらの資料を参考に所有者や山林の規制等を調べます。その後、案内してもらったり、場合によっては我々買い手だけで山林の現地確認をして、いよいよ売買代金の提示です。
「○○○万円でいかがですか?」なんて、買い手から連絡が来ますので、その値段でよければ、後日契約締結します。もし値段に納得出来なければ、もちろん断っても大丈夫です。「もっと高く売れると思っていたのに~」なんて言いながら断る方もたくさんいらっしゃるので、そこは気にせず断ってしまいましょう。
私の会社では、値段の折り合いがつかずに売買契約までいかなかった場合でも、手数料や実費等は一切頂きません(調査するのに結構時間とお金がかかります)。ご希望に添えられなくて、ごめんなさいとこちらから謝って終わりです。しかし、中には手数料や調査費としての実費を請求する会社もあると思いますので、最初に確認しておいた方が良いかもしれません。「山林評価して頂くのに、費用等かかりますか?」と。
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