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契約書中の文言「解約」と「解除」を考える

法律行為

契約書中に必ず現れる文言「解約」と「解除」の違いは何?

普通(素人)の感覚では同じ

会社の業務で、契約書のチェック等をしています。第1条からずっと読んでいくと、契約書の後半では、かならずこれらの解約条項や解除条項が現れます。自分が契約書作る時は、あまり難しい事考えずに、ほとんど自分の感覚で、さらに無意識にこれらの「解約」と「解除」の文言を使い分けていましたが、いざ他人の作った契約書見てると、それら自分の感覚が正しいのか怪しくなってきます。以下、私の感覚ですが、ざっくり調べた感じですと、特に法律的にも間違ってないようです(安心)。

解約

言葉そのものとしては、解除よりも柔らかいですね。

将来に向かって

賃貸借契約のような、継続して行われる契約の場合、「解約」の文言を用います。その場合、今までの賃貸借契約は有効なのですが、今後は無かったことにしますと言う意味合いです。例えば、「12月末までの賃貸借契約を結んでいたが、6月まで借りて、7月以降はやっぱり借りません」と言うような状況では、6月までの賃貸借契約は有効だが、7月以降については、契約を解約すると使います。将来に向かって契約が終了すると言うことです。

当事者同士の合意

解約の文言を使う場合を想定すると、契約の当事者同士が合意するシーンが考えられます。上の場合ですと、借主が「契約は12月までだけど、やっぱり6月まででいいかな?」と訴え、それに対して貸主が「半分じゃん!まあ、しかたないね。いいですよ。」って答えれば、それで契約の解約が成立します。当事者の片方から一方的に主張するようなものではなく、当事者双方の納得の上での契約を終了される場合です。

 

 

 

 

解除

解約に対して、契約上で揉めるのが解除の場合でしょう・・・なぜなら・・・

さかのぼる

解除の文言を使う場合、契約当初にさかのぼって契約そのものを無かったことにします。

当事者一方から

契約締結後に、当事者の片方から、相手側に一方的に主張します。例えば、貸主が自己所有不動産を「あなたが住む住宅としてお貸ししますよ。」と言って契約したのに、借主がそれを無視して、事務所や店舗としてその不動産を使用した場合、貸主からしたら「約束が違う!こんな契約解除だ!」と怒りますよね。契約が解除されると、契約そのものが無かったことになるので、今まで事務所や店舗として使用した(目的外使用)期間については、損害賠償のような形で賃料の代わりになる金銭を請求するでしょう。

解約が当事者同士の合意がベースにあるのに対して、解除は当事者の片方から相手側に一方的に行う主張です。普通考えられるのは、契約当事者の一方が、契約違反等をした場合に、その相手側からの解除通告でしょう。

まとめ

「解約」①将来に向かう ②当事者の合意
「解除」①さかのぼる ②一方からの主張

以上のように一応の目安はありますが、実際はもう少し複雑です。例えば、「当事者双方が合意して、契約をさかのぼって無かったことにしよう」とする場合だってあります。当事者双方の合意だから解約?効果がさかのぼるのだから解除?はっきりしません。

私が契約書作成する場合は、①の「将来に向かう」と「さかのぼる」よりも、②の「当事者の合意」と「一方からの主張」を重要視します。なぜなら、契約の基本は、当事者同士の決め事ですから、その効果が将来に向かっても、さかのぼっても、当事者同士が納得していれば、問題になりません。上の「当事者双方が合意して、契約をさかのぼって無かったことにしよう」の場合、当事者双方が合意しているから、(さかのぼって終了するが)「解約」を使います。

ですから私は、当事者双方が合意している場合は「解約」、どちらかが契約違反等して、一方的に契約をなかったことにする場合は「解除」と使い分けています。

そもそも、我々契約書作成している人間が、これらの文言を気にしているだけで、実際の契約の当事者となる方達は、ここまで厳密な意味合いなんか考えていません。「ここに解約って書いてあるんだから、その効果は将来に向かってだろ!!」なんて主張してくる方なんていません。大事なのは、文言の使い方より、実際の契約締結の段階で、契約書の中身をしっかり確認、説明することです。確認して、説明して、契約当事者双方が納得していれば、無用な争いは避けられますからね。契約書に「将来にむかって解約する」とか、「契約締結当時にさかのぼって解除する」とか書いてしまっても、問題ないし、解りやすい場合もありますしね。

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