業務委託契約書や請負契約書の作成を良くやるのですが、毎回契約書に貼付する「印紙」に悩まされます。
今回は、林業会社の弊社が、「他の林業会社に弊社の管理する山林の伐採を依頼」する契約を検討していました。忙しくて自社では伐採出来ない場合に、他の業者さんに協力を依頼するわけです。
第2号文書か第7号文書か
第2号文書は「請負契約書」で、請負金額によって印紙代が変わります。例えば、500万円を超え1,000万円以下の契約金額なら10,000円の印紙を貼る事になります。
第7号文書は、「継続的な取引の基本となる契約書」で、印紙は一律4,000円です。何度も同じ契約を繰り返す場合に、予め基本となる事項を定めておく契約書です。ただし、契約期間が3カ月以内で、更新の定めがないものは除かれます。
単価契約する
山林の伐採を業者に依頼する場合、単価だけを定めて契約して、後日清算します。例えば、(分かりやすく書きます、実際は全然違いますが・・・)「1本伐採するにつき2,000円」とかです。それを、毎月末で締めて、清算します。
この毎月清算する行為が、複数回の取引として扱われるので、普通に考えると請負の第2号文書にしか該当しないと思っていた山林の伐採請負契約が第7号文書の「継続的な取引の基本となる契約書」にも該当するからくりです。
第2号と第7号どちらにも該当する場合
山林での立木伐採契約を考えた場合、契約期間は通常三カ月以内になる事の方が多いのですが、ごくまれに「三カ月」を超えた期間で契約を結ぶ時もあります。(契約期間が「三カ月」以内の契約の場合、継続的な取引であっても、第7号文書からははずれます。)
契約期間を「三カ月」以上とり、さらに毎月末に締めて清算するような契約を結ぶと、第2号文書の「請負契約書」と第7号文書の「継続的な取引の基本となる契約書」の両方にも該当することになります。
判断方法は、契約金額が記載されているかどうか。記載されていれば第2号文書で、記載されていなければ第7号文書です。
例えば、「1本伐採するにつき2,000円で、1,000本の立木を伐採する。」と契約書に書けば、(2,000円×1,000本=2,000,000円)となり、契約金額が「記載されている」ことになります。
この場合、契約金額は2,000,000円の第2号文書になるので、印紙は400円です。
一方、「1本伐採するにつき2,000円」とだけ定めて、予定数量の記載などが無い場合は、単価だけなので、契約金額の「記載がない」ことになります。記載が無い場合は、第7号文書に該当し、一律4,000円の収入印紙の貼付が必要になります。印紙代10倍ですね・・・
第2号文書の単価契約なので
先にも書きましたが、伐採工事で3カ月を超える事は稀なので、うちは契約期間「3カ月以内」に設定し、さらに予定数量なんかも記載せずに「単価のみ」を設定した契約書を結びます。
立木の伐採請負契約で、月末に締めて清算をするので継続的取引にあたりますが、「3カ月以内」の契約期間を定めているので、第7号文書には該当しません。次に、単発(継続的取引ではない)の請負契約として第2号文書を検討しますが、後々しっかり清算する、もしくはどれだけの分量伐れるかわからないとの理由から、契約書には「単価のみ」を記載しますので、「契約金額」がわかりません。「契約金額」がわからない=「契約金額」の「記載がない」契約書になります。
よって、「記載された契約金額」が、「契約金額の記載のないもの」として、収入印紙は「200円」必要となります。
※最初、契約金額の記載のないものは4,000円(第2号と第7号どちらにも該当する場合)と思いこんでいたので、契約金額の記載のない第2号文書が理解出来なくて、しばらく悩んでました・・・
まとめ
「ある現場の立木を伐採する工事」は、イメージ的には単発の請負だが、毎月末日に締めて清算するので「継続取引」。「継続取引」に間違いないのだけど、契約期間が「3カ月以内で更新の定めがない」ので、第2号文書の「請負契約」になる。「請負契約」なんだけど、「単価のみ」設定されているので、契約金額がわからない、つまり「契約金額の記載がない」。よって、うちが扱う立木伐採請負契約書は、「記載された契約金額」が、「契約金額の記載のないもの」として、収入印紙「200円」を貼付する!
印紙税法は難しいって良く聞きますが、全くその通りですね・・・今回、いろいろ調べてここまで書きましたが、それでもどこかに間違いないか不安です。
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