法務省のホームページや、法務局の登記相談を利用すれば、わざわざ高額な報酬を支払って司法書士に依頼しなくても、自分で登記申請書を作成して、登記申請を行う事は可能です。そこで、自分で登記申請を行う時に必要な物や、注意点をご紹介していきます。
必要な物
パソコン(ワープロソフト)
一応、手書きの登記申請書でも法務局は受け付けてくれるでしょうが、読み間違えや、書き間違えが厳禁な登記申請書なので、ここはやはりパソコンで作成しましょう。
プリンター
A4用紙でモノクロ印刷が出来れば問題ありません。不動産の表示の登記と言って、不動産の現況を現すような登記申請ですと、図面の作成等が必要になりますので、B4用紙の印刷が必要になるのですが、図面の作成となるとCADソフト等の専門的なソフトも必要になり、素人には難しいと思うので、ここでは考慮しません。
売買による所有権移転登記や、抵当権設定登記、抵当権抹消登記、住所・氏名変更、相続登記等、一般の方が必要になるであろう登記申請ならば、A4用紙だけで大丈夫です。
登記簿謄本(登記事項証明書)
不動産登記を行うので、その不動産について正確に把握しないといけません。ですから、登記しようとする不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)は、事前に法務局で取得しておくことをおススメします。同じ理由で、住民票なんかもあると便利ですね。
登記事項証明書とは?
登記簿謄本(登記事項証明書)の取得方法です。
※取得するためには、正確な所在地番(住所みたいなもの、住所とは違います)が必要です。一般の方はご自分の土地の正確な所在地番なんてわからない事がほとんでしょうが、毎年5月頃に届く、固定資産税課税明細書に所在地番と、地目、地積等が記載されていますので、それを参考に登記簿謄本(登記事項証明書)請求用紙を記入しましょう。
もし固定資産課税明細書を無くしてしまったり、手元に無い場合は、その不動産のある市町村役場に行けば、発行してもらえます。「固定資産課税明細書が欲しい」または、「名寄帳(なよせちょう)が欲しい」と言えば、発行してもらえます。
まず確認するのは
まずは登記しようとする不動産の登記簿を確認します。ここでは、私が登記申請する際に、最優先で確認する事をご紹介します。これは、売買による所有権移転登記であっても、抵当権抹消、または相続登記でも全て変わりません。必ず確認します。
権利部 乙区
抵当権なんか設定されていたら、売買するわけにはいかないので、確認します。
地目
通常、私が取引するのは山林なので、登記簿の地目も「山林」が普通です。他にも、「原野」なんかもあります。「原野」と言うと荒れた土地をイメージしますが、しっかり手入れされた山林の地目が「原野」なんてことは良くあるので、「原野」そのものは気にしません。一番気にするのは「田」と「畑」、つまり農地です。
登記簿上の地目が農地ですと、農業委員会の許可が必要になります。そもそも農家しか農地は購入出来ないので、私の会社でも地目が「田」や「畑」の農地は諦めます。現地確認して、明からに農地ではなく、山林だとしても登記簿上の地目が農地だとダメです。どうしてもの場合は、農地転用して、地目変更までしますが、そこまでするのは稀です。
権利部 甲区
権利部 甲区に記載されている所有者を確認します。通常、売買の話を持ち掛けた方が所有者なので、問題ないのですが、「登記簿に記載されている住所」と、「現住所」が異なる場合は多々あります。
意外とプロの司法書士でも見落としてしまうらしいのですが、現在住んでいる住所(=住民票登録されている住所)と、登記簿上の住所が違うと、問答無用でその登記申請は却下されます。
そのため、例えば売買による所有権移転登記を申請する前に、正しい現住所へ直す登記申請を先行して申請します。通常、住民票一通添付するだけで行える簡単な登記申請ですが、非常に重要です。
上記住所以外に意外と多いのが、登記簿上の所有者が、亡くなった先代のまま等、相続登記を行われていないケースもあります。この場合も住所同様、正確な所有者(相続人)へ登記簿を直しておかないと、これから提出する登記申請は全て却下されてしまいます。
まとめ
あえてやっかいな事例を想定してご紹介していますので、自分で登記申請を行うのは、なかなか大変だと思ってしまった方も多いと思いますが、通常はそれほど問題なく登記申請出来るかと思います。私でも住所が違っていたり、相続登記されていない場合なんて10件に1件くらいの割合です。
司法書士に依頼するのも、まずは登記簿謄本(登記事項証明書)を取得して、確認してからでも遅くないと思います。登記簿謄本(登記事項証明書)確認して、どうしても自分に無理だと思ってから司法書士に依頼しても良いですし、その際に取得した登記簿謄本(登記事項証明書)は、そのまま司法書士に渡せば、無駄にならないですからね。